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どのように風車のパーツを輸送するのか

ブレードの長さ44m、ナセルの重さ82t、タワーの高さ85m。風車のパーツはどれをとっても大きく、重量のあるものです。山の上でゆっくりと回る風車を眺めていると、ふと「あれをどのように運んできたのだろう」と思うかもしれません。ここでは風車のパーツが海を越え、風車建設地へ運ばれてくるまでの様子をご紹介します。

風車パーツの海上輸送

風車パーツの海上輸送

現在CEFで利用している風車の多くは、GE (General Electric) 社のものです。海外製のパーツは貨物船に積まれ運ばれてきます。生産国は様々ですが、これまでナセルはドイツ、タワーは韓国、ブレードはスペイン、インド、中国のものを使用してきました。各パーツは様々な国で製造されていますが、その都度どこのものが良いか吟味した上で選択します。それらは海上輸送で運ばれるため、ヨーロッパなどから輸送される場合、日本に届くまでにおよそ2ヶ月ほどかかります。

海上輸送の送料はどうするの?

海上輸送の送料はどうするの?

契約のよっても異なりますが、基本的には指定港までの輸送費込みの価格でメーカーと契約します。

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風車パーツの水切り(荷揚げ)

水切りとは、貨物船から積荷を陸に揚げる荷役のことです。風車サイトから近く、大型貨物船が入港できる規模で、税関機能がある、という特定の条件を満たしている指定の港に入港します。手続きを終え、岸壁に着いた貨物船からパーツを降ろしていきます。貨物船のクレーンで陸上輸送をするためのキャリアに風車パーツを積み替え、港内の仮置き場に運びます。風車サイトに輸送する段階になるまで、パーツは港に仮置きしておきます。た指定港から風車サイトが遠い場合は、風車サイトに近い港まで再び海上輸送します。CEFの保有する舞鶴港の施設は、それらの条件を満たしているため、今後は水切りから仮置きまでを一ヶ所で行うことができ、更にパーツの検収なども行うことも考えています。

風車パーツの水切り(荷揚げ)

船の種類によりますが、大型貨物船は階層毎に荷物を積み込むことができます。階層のスラブ部が開閉式のハッチになっているので、ハッチを閉じればその上にまた積み荷を載せることができます。一般的には、ナセルを船底に、その上にブレードを積むことが多くあります。またバージ船と呼ばれる”はしけ”(Barge)を牽引して運搬する船で運ばれてくることもあります。

仮置(港)

舞鶴港をパーツセンターにすることで、常時ストック&最速のパーツ供給他、パーツの状態も常にベストに保つことができます。

仮置費用の意外な出費

港の岸壁の深さは?

港の岸壁の深さは、本船で8m〜10m(3階建ての家と同じくらいの高さ)、バージ船で3m以上の深さが必要です。また、水切り作業には、クレーンスペースとトレーラーが入るためのスペースが必要になります。そのため、港にスペースを確保しなくてはなりません。しかし、漁港などの場合、早朝の競りの時間には冷凍車などが入るため、スペースを確保することはできません。ですから、事前に確認をとり作業をスムーズに進められるように努めています。

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港の岸壁の深さは?

仮置費用の意外な出費

風車のパーツは非常に大きいため、「ちょっと置かせてもらっていいですか?」ということはできません。そのため港内にスペースを借りて、そこに仮置をします。しかし、場合によってはかなりの金額を払う必要があります。CEFでは、舞鶴港に敷地を所有し、そこに仮置をする施設を設けることで、仮置をする費用がかかりません。

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パーツセンター

通関

海外から届く風車のパーツは輸入品扱いになるので、通関手続きをしなければなりません。税関官署に対して貨物の内容を申告し、必要な検査を受けた後に税金を納入します。税金は輸入消費税(日常の買い物と同じ5%)と関税(機械類は払わなくていいことが多い)があります。通関手続きを完了すると外国貨物扱いから国内貨物扱いとなり、日本国内で利用することができます。

仮置のスペース

仮置のスペースはどのくらい広いのか?

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風車パーツの陸上輸送

輸送計画

港から風車設置場所近くの仮置場まで、風車パーツの輸送路を決めます。一般道を利用させていただくため問題がないように必至な計画です。ボトムタワーの重量が増大した現在、輸送車両の高さは5500mm必要で、ブレードは44m(GE 2.5の場合)+トレーラ分の長さが必要です。輸送路はこれらをよりスムーズに運ぶことができるよう検討する必要があります。そのために次のような点に注意します。
・トンネル、歩道橋、電線などがある場合の高さ制限
・橋などの重量制限
・急カーブや交差点でブレードの旋回が難しい箇所
・長い直線道路で迂回路がなく、待避所も作ることができず離合が難しい場合
・交差点、信号機が多い箇所
場合によっては、途中の店舗の駐車場をお借りしたり、ガードレールや信号機などを外す必要がある場合もあります。(輸送後に元に戻します。)実際、現地に下見に行き、それらを確認した上で最終的な判断をします。

-陸上輸送の各段階-

風車パーツを仮置している港から風車を建設する場所への陸上輸送は、以下のような輸送計画に沿って行なわれます。陸上輸送にはいくつかの段階があり、ここで説明していきます。

-陸上輸送の各段階-

港から風力発電サイト近くの仮置き場まで、夜間に公道上を輸送する段階を第一次輸、仮置き場から風車設置場所までの輸送を第二次輸送といいます。

第一次輸送

風車パーツを運ぶキャリアは大きいもので幅4m以上もあります。また風車パーツそのものも非常に大きく慎重な作業になるので移動速度はゆっくりしたものです。そのため、輸送は交通規制をしながら交通量の少ない夜間に行うのが原則です。

パーツをキャリアの様子

港に仮置されているパーツをキャリアに積みます。夜まで待機です。場所によりますが、22時から5時くらいまでの間に輸送します。

ブレード・タワー•ナセルの輸送。巨大なパーツの輸送は通行には十分に気をつけなければなりません。

陸上輸送の様子

特にブレードの輸送には非常に気を使います。当然ですが、信号•看板•民家などに絶対にぶつけないよう慎重に行っています。時速4kmほどのスピードでゆっくりと進んでいきます。

陸上輸送の様子その2

総勢60名にも及ぶこともある輸送作業。豊北の場合、17kmの道のりを1.5時間かけて輸送しました。その時々の状況によりますが、1日4パーツ程の数を輸送していきます。

タワーの分割できる数

タワーの分割できる数

85mの高さがある風車のタワー部分は、標準仕様では4分割です。しかし、日本でのスペースの確保が難しい輸送事情に合わせて5分割できるようにしてもらっています。

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輸送時の運搬路計画図の一例

一度では曲がりきれない交差点の場合

渋谷のスクランブル交差点をブレードが通過したら

渋谷のスクランブル交差点をブレードが通過したら

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第二次輸送

①仮置き場に一旦降ろしたパーツを、サイト内まで夜間林道輸送する段階です。ここでは特殊キャリアを用いて サイト内のふもとまで輸送します。CEFでは公道も走行可能なトーヨートレーラーのCFA120Pを使用します。

陸上輸送の様子その3

トーヨートレーラー120CFA

トーヨートレーラー120CFA

最大で120tonの運搬が可能です。 風車のパーツ全てを運送することができ、サイト内はもちろん公道も走行可能です。広いところでは車幅を広く安定して走行し、狭いところでは車幅を短くして通行可能です。100tonまでなら30%の斜路も走行でき、前輪にブレーキが重いもを搭載しながらでも降下ができます。水平保持機能があり、カーブなどにも強く、非常に高性能のキャリアです。

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②ふもとに到着したパーツを風車を実際に建てる建設現場まで運びます。
サイト内での輸送の段階です。CEFでは独自の特殊重機を使ってサイト内での輸送を行います。LTR1100(100トンクレーン)に特殊アタッチメントを装備させることによって、クレーンでありながらタワー、ブレード、ナセルの全てを輸送することができるようになります。このLTR1100は幅5.5mで斜度15%までの輸送路を登坂できるため、環境負荷の少ない輸送をすることができます (従来の輸送路は幅12m斜度10%程度 )

開発対象面積拡大

③CEFの考える環境負荷の少ない風車建設
CEFはこれら独自に開発したハードとソフトを用いることで、環境負荷を1/3にまで減らした風車建設を実現しています。

これからも、CEFでは新しい技術を開発することでより環境に優しい風車建設を目指していきます。

LTR1100は変芸自在です

LTR1100は変芸自在です

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